You will be the first witness to new movement of “Butoh”,
by Sakamoto from Japan,
the place that Butoh was born.
“Fair is foul, and foul is fair.”
– by Shakespeare
こんにちは。カルチャーウォッチャーの藤木高子です。
今回はダンサー、Hiromi Sakamoto(坂本博美)さんが、海外へ活躍の場を広めたいという希望から、ニューヨークへの進出を提案しました。
Sakamotoがたどり着いた自己表現法、Butoh(舞踏)とは、
Butoh は日本独自の伝統と前衛を融合させたダンスのスタイルとして1960年代に日本で生まれました。既存のダンスが、身体の美しさを追求するのに対して、Butohは人間の負の感情、醜悪さ、哀しみなどを表現するのが特徴です。
Sakamotoはクラシック、モダンダンス、ジャズダンス、ヒップホップ等、さまざまなダンスのジャンルを遍歴し、最終的にButohにたどりつきました。
Butohでしか表現できない負の感情の中にある美しさに魅せられ、自己表現として追求を続けています。
なぜニューヨーク進出を目指すのか
日本で生まれたButohですが、認知度は海外の方が高く、特にニューヨークでは人気のあるダンスジャンルの一つです。Butoh Institute という専門の劇場があり、定期的に有名な舞踏家を招聘し公演も開催されています。
そこで、ダンサーとして海外における活動の場を広げるには、舞踏をこよなく愛するファンがたくさんいるニューヨークから活動をスタートするのがよいのではと、サジェストしました。
折りしも、コロナ禍により、オンラインで踊るダンスフィルムという新しいアートフォームが確立され始めたころでした。
当時、ニューヨークではダンス公演が次々と中止になり、ニューヨークで活動を開始するといっても、渡米もままならない状況でした。しかし、アートフィルムという分野であれば、場所は関係ありません。
むしろ動画だけで認知を広げられる可能性があるチャンスではないかと、ダンスのアートフィルムを制作して発表することを勧めました。
小泉八雲の「雪女」動画制作チーム結成
そこで、女性のセルフブランディングをサポートする”驚異の女子会ティラノサウルス”というコミュニティーの中で、 Sakamotoの動画制作プロジェクトチームが編成されました。
題材は世界に知られる小泉八雲の「雪女」。
この題材を通して、Sakamotoは、自身の長年のテーマである「けなげな美しさ」を表現しようと意図していました。しかし、海外在住経験が長い藤木の目には、雪女の自己犠牲的な愛は、海外では共感されにくいように見えました。そこで、藤木はそうした文化的なバックグランドの違いをチームに伝えました。
しかし、Sakamotoは、雪女の哀しみや愛といった「日本独特の世界感」を日本人のButohダンサーとしてどうしても伝えたいと思い、表現次第で、価値観の違う海外の人々にも、人間の普遍的な感情として伝わるという信念がありました。
そこで、それらをButohを通してどうやって伝えていくか、動画チームで日夜ディスカッションが交わされ、表現に工夫を凝らしました。単にButohのダンスフィルムのみにとどまらず、雪女というストーリーのコンセプトを伝える詩を加えることで、アートフィルムとして昇華させたのです。藤木は、これらの動画制作工程に携わり、英語版の詩の英訳も手がけました。
ニューヨークのダンス関係者、メディアに動画を送った。
こうして、約半年もの制作期間を経て「雪女」の動画が完成したのです。
完成した動画は、ニューヨークのダンス関連のメディアに配信し、関連するアート系のウェブサイトの公募など、多くのサイトにも応募しました。
配信先、応募先なども、藤木のCulture Watcherとしての、見識やネットワークに基づいて、一般にはなかなか見つけにくいようなニッチな送信先を収集できたのではないかと自負しています。
送信する内容についても、対象に合わせてパーソナライズした英文メールを執筆し、丁寧に一通ずつ送信しました。
今後のSakamotoの展開について
Sakamotoのニューヨーク進出はまだまだこれからです。次回以降も、日本的なテーマを題材にシリーズ化したアートフィルムを次々に制作していこうと意欲を燃やしています。
藤木も、継続して彼女をサポートしていく予定です。今後のSakamotoの活躍をご期待ください。
坂本博美 Hiromi Sakamoto
ダンサー。学生時代に躍りに出会う。ストリートダンス、モダン、ジャズダンス、コンテンポラリーを経て舞踏にたどり着く。抗い、目を背けたくなる感情をも美しい。日本の精神的背景に基づく美しさを表現するため探求を続ける。